国際秩序をを指導する国家がないことによる混迷を最大のリスクと指摘し、冷戦初期に匹敵する地政学的に最も危険な1年なると警報を鳴らした。
10大リスク
1,深まるGゼロ世界の混迷
2,トランプの支配
3,米中決裂
4,トランプノミクス
5,ならず者国家のままのロシア
6,追い詰められたイラン
7,世界経済への負の押し付け
8,制御不能なAI
9,統治なき領域の拡大
10,アメリカとメキシコの対立
1,Gゼロの勝利
Gゼロは、ユーラシアグループのブレマー氏が国際秩序を指導する国家が存在しない
状態を指して使ってきた用語。
Gゼロ世界で地政学的に不安定が常態化する。新たな世界大戦すら起きるリスクは
かつてないほど高まっている。
1930年代冷戦初期に匹敵する危険な時代に突入しつつある。
2,トランプの支配
司法省やFBIといった政治的に権力を持つ組織にトランプ氏忠誠を誓う人物を据えようと
している。行政権力に対する独立したチェック機能が低下し法の支配が弱体化する。
また政治的に近い起業家を優遇すれば市場競争ではなく権力への近さが成功を
左右するシステムが生まれる可能性がある。
3,米中決裂
トランプ氏の返り咲きにより米中関係の安定は崩れるだろう。経済に混乱や危機の
リスクが高まることになる。
トランプ氏は、今後中国製品に高い関税を課すことを実行するだろう。
4,トランプノミクス
関税の大幅な引き上げは、サプライチェーンを混乱させ企業と消費者のコストを
押し上げる。
また不法移民の大量送還などによってアメリカの労働力が減少し賃金や物価が
上昇するだろう。インフラ率の上昇と成長の減速で経済の強さを損なうことに
なるだろう。
5,ならず者国家ロシア
ウクライナで停戦が成立する可能性は高いが、ロシアはアメリカ主導の世界秩序を
弱体させる政策をさらに推進するだろう。ロシアは占領した領土を事実上支配した
ままにするだろう。
6,追い詰められたイラン
イスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃以降、イランの地政学的立場は
壊滅的な打撃を受けた。イランはここ数十年にないほど弱体下していて、
依然として不安な情勢が続くだろう。
7,世界経済への負の押し付け
トランプ次期大統領が就任するアメリカと経済が低迷している中国の混乱が
ほかの国々にも波及し世界経済の回復を妨げ地政学的分裂を加速させることに
なるだろう。
8,制御不能なAI
AIの性能はさらに向上する一方、規制緩和によって大惨事につながる事故や
制御不能AIの暴走のリスクが高まるだろう。
9,統治なき領域の拡大
アメリカが世界的なリーダーシップを放棄していて、より深刻な地政学的対立や
不安定引き起こし、ならず者国家や非国家主体を勢いつかせる。
10,アメリカとメキシコの対立
メキシコは財政難が続くなか、トランプ次期大統領の関税措置や不法移民などの
取り締まりといった困難な課題に直面することになり、アメリカとメキシコの
関係はさらに険悪になるだろう。
といった具合である。
アメリカは世界で圧倒的な強国だが、来たるとトランプ政権が単独主義を志向するなか、
外交政策はより取引的になり、多国間主義や国際機関、法の支配などへの支持を
放棄するようになるであろう。
コメント