すっかりお馴染みになったユーラシアグループの10大リスクだが昨年の予想を振り返ってみると、
新型コロナウイルス感染の封じ込めを図る中国のゼロコロナ政策が失敗することをリスクの一番に
挙げ見事にいい当てた。また、ロシアによるウクライナ侵攻が昨年始まったことは予想外で
あったが、リスクの第5位にロシアを挙げウクライナ侵攻を予見する内容であった。そうして今年の
10大リスクは、
1,ならず者国家ロシア
2,最大化する習近平氏の権力
3,テクノロジーの進歩による社会混乱
4,インフレショック
5,追い詰められるイラン
6,エネルギー危機
7,途上国への成長打撃
8,アメリカの分断
9,Z世代の台頭
10,世界の水不足
とした。
1,ウクライナ侵攻を続けるロシアは、世界で最も危険なならず者国家(ROGUE Russia)になる。
長期化するウクライナ侵攻で国際社会から孤立したロシアが核兵器による脅しを強め、
ウクライナを支援する欧米の不安定化を狙ってサイバー攻撃や重要インフラへの攻撃を
行なうと分析している
2,昨年10月の共産党大会で3期目政権を発足させた中国の習近平国家主席への権力集中が
引き起こす混乱を挙げている
習氏が権力を極限まで集中させたことで、政策運営へのチェック機能が働かず大きな間違いを
犯すリスクが高まっていると予測。
3,AI=人工知能の技術的進歩は社会の信頼を損ない、ビジネスや市場を混乱させる。
ポピュリストなどは政治的利益のためにAIを武器化し、陰謀論やフェイクニュースを広める
4,世界的なインフレに対し、各国の中央銀行は金融引き締めを続けています。
そうした中で世界は景気後退に追い込まれると予測し、世界各地で政治的な不安定に
つながると分析
5,イランの抗議デモ。女性の頭髪を隠すスカーフの着用を巡って抗議デモが拡大。
政権崩壊の可能性は低いが、過去40年間のどの時点よりもそのリスクが高くなっている
6、エネルギー価格の上昇は消費者と政府に負担をかける
7、世界経済の発展で途上国と先進工業国の間に機会均等が縮小し、世界中で生活水準の質が
向上。しかし、新型コロナのパンデミックロシア、ウクライナ戦争、世界的なインフレが
健康や教育に関する指標の低下する
8,アメリカは世界の先進国の中で最も政治的に偏向し、機能不全に陥っている国の一つで
政治的暴力のリスクが続いている
9,Z世代は1990年半ばから2010年代初頭に生まれた若者で生まれたときにすでに
インターネットが存在しいたデジタルネイティブ世代です。この世代が新しい政治勢力と
なり、影響力がさらに拡大すると予測
10,水不足は世界的かつシステミックな問題になる。各国政府は一時的な危機としてしか
受け止めていないと認識の甘さを警告。世界の企業の3分の2が重大な水不足に直面すると
予測
番外リスクもどきとして
・ウクライナ支援に亀裂
・機能不全化するEU
・台湾有事
・技術を巡る米中報復合戦
以上のように今年も様々な政治りすくが想定されます。経済環境では景気と物価動向、
アメリカの中央銀行にあたるFRBの利上げ回数と停止時期、 日本銀行の緩和政策修正が
注目点です。
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